夏恋―NATSUKOI―
「夏子ちゃん!大丈夫?」

私は震えながらも、しっかりとうなずいた。

掴まれた腕を見ると、くっきりと手形が残っていた。


思わず視線をそらしてしまう。



「…ごめん、俺のせいで」

「何で佐藤くんが謝るの?私がいけないんだよ?」

「ううん、俺のせい。ちゃんと、夏子を見てなかったから…」



佐藤くん…ってんんっ?

今…いや、さっきもだけど…

"夏子"って呼び捨て?



私は彼の目をじっと見た。

視線に気づいたのか、彼と目があう。


「どうしたの?」

「なっ、何でもないよ?」

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