夏恋―NATSUKOI―
―と、思ったら。

後ろからすごい力で抱きしめられた。


「さっ、佐藤くん?!」


こんなことされたら…涙が。


「夏子、ずるいでしょ?」

「え?」

「自分の気持ち伝えといて、俺の気持ち聞かないの…」



だって、そんなの知ってるから。

彼が好きなのはきっと、別の人。


「俺が好きなのは「聞きたくない!」

大人げないって言われてもいい、だけどこればかりは嫌だ。


振られるのがわかってるのに、聞く人なんていない…


しばらく佐藤くんは黙った。

そして、私を振り向かせて―

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