私はこの宙を何よりも尊いものだと信じます。
十数分話してる時に、息を切らしながら宗樹は学校から四キロ近くあるうちから自転車でとばしてやってきた。哲は用事が出来て来れなかったらしい。
「遅いぞっ、宗樹!」
悠がつっこんだ。
「そうだ、宗樹こっち来て。多架は待っててね。」
「わかった。」
仲良いな…。宗樹と悠。もしかして、宗樹の好きな人って悠かな?
「多架ー、心配しなくてもそんな話してないよ。」
隣で舞華が私の事を察しているかのように言ってきてビックリした。
「うん。」
ちょっとして、宗樹と悠が帰って来た。
「よーし、作戦実行だっ。舞華行こう。」
「了解ー!」
「あっ、多架?動くなよー。」
取り残された私と宗樹。私は気まずくってずっと二人の方を向いてSOSを送っている。
「あのさ、多架…。」
いきなり名前を呼ばれてビックリして振りむいた。
「俺、お前の事好きなんだ。俺と付き合ってくんね?」
顔が赤面しながらも、いつものようにキザっぽく言う宗樹の言葉は本当に私に向かって言われてるものかわからなくて返事が出来なかった。
「多架ー?返事はした??」
「してない。どうすればいい…??」
宗樹に聞こえないようにひそひそ声で話す。
「うち、言っていい?付き合ってもいいんでしょ?」
「うん。」
私は自分でも真っ赤になったのがわかった。あの宗樹が私の事好きってだけで焦ったのに、付き合うって…。砂織がわかったらどんな顔するだろう…。
「宗樹!多架も宗樹の事好きだってー。付き合うってよー!」
大声で叫ぶ悠にビックリしたのと同時に一気に恥ずかしくなった。
「よろしくな。」といって差し出した宗樹の手はいくら小学生とはいえ大きくて温かかった。
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