なみだ
分けがわからず、
僕の頭の中はパニックに
なっていた。

いくつもの言葉が
一気に頭の中を廻り、
渦を巻いた。

でも、
僕の口からはどの言葉も
出てこない。

絡みあった言葉たちが
喉元で詰まっている…
そんな感じだった。



「本当は‥、瀬良さんには言わないで…と、
ずっと莉緒に言われて
いたのですが…」



電話越しに聞こえる
彼女の母親の声に、
僕は喉元で詰まった
言葉たちを飲み込むようにゴクリと唾を飲み込んだ。



「実は‥、莉緒は今、
入院しているんです‥」



彼女の母親の言葉に、
僕はそれほど驚いていない自分に気付く。

それは、
頭の中に浮かんだ
いくつもの言葉たちの中にあった言葉<もの>…。

できることなら
聞きたくなかった‥

そうではないと
信じたかった言葉‥。
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