なみだ
「おはよう、莉緒」
いつものように
僕は彼女の病室へと
入った。
「おはよう‥、優輝」
いつもと同じ笑顔で、
彼女は僕に笑ってくれた。
でも…
それだけ、だった。
いつもと“同じ”だった
のは‥。
いつもならベッドから
体を起こすのに、
今日の彼女はベッドに
横たわったままだった。
「大丈夫‥?」
心配そうに訊く僕に
彼女は小さく頷き、
「でも‥、
今日は読書するのは
ちょっと無理かも‥」
と、弱々しい声で
申し訳なさそうに笑った。
あんなにも好きだった
彼女の笑顔が、
今は ただ、
見ているのが辛かった。