初恋の向こう側

えっ 土曜……?


確かに二枚の写真の日付は、同じ ”8月21日” 付になっている。

母さんが思いだしたように、俺の顔を見ながら言った。


「そうそう、あんたと同じ21日生まれで、茉紘ちゃんの方がちょうど半年早いのよ」


『誕生日が近い』とは言ってたけど、祭りの日だったのか……。

衝動的に立ち上がり、早足で玄関へ向かった。

スニーカーに足をつっこみながら、携帯を開いてリダイヤルした。

またシカトされるかと思ったけど、三回目の呼び出し音の後でヒロは出てくれた。


「はい」

「あ、ヒロ?」

「当然でしょ? あたしの電話なんだから」


深い溜め息が聞こえてきた。

やっぱ怒ってる?


「あのさヒロ、俺だけど」

「そんなの出る前からわかってるんだけど?」


だよな。
そりゃ、怒ってて当然だよな。


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