初恋の向こう側

関心して見入っていた俺の腹の虫が、急に鳴き声をあげた。

すぐに振り向いたヒロが眉間に皺を寄せる。


「何、今の?」

「ん? な、何かな~?」


惚けると、睨まれた。


「もしかして食べてないの? 朝ごはん」

「うん」


そういやシャワーから出た後、何もしないでヒロん家に来たんだった。


「じゃあ、あっちで座って待ってれば?」


とヒロが居間を指さす。


「え?」

「いいから黙って行く!」

「はい!」


従順な飼い犬状態。

……でも仕様がないよな。
例えヒロが何も言わなくたって、後ろめたさありありなんだから。

< 106 / 380 >

この作品をシェア

pagetop