初恋の向こう側
「さっき作ってたのは?」
「あれは、パパの晩酌のおつまみ」
「ふーん。オジさんって毎晩遅いんだよな?
じゃあ、ヒロはさ…」
「ねぇ、梓真?」
「ん?」
「あたしに話があって来たんじゃないの?」
真っ直ぐに見据えられる。
別にごまかそうなんて思ってたわけじゃない。謝ろうと思って来たんだ。
なのに、何でだろ?
ヒロの目を見ると、約束をすっぽかしてしまったこととは別の罪悪感が湧いてくる。
昨日の出来事への。
哉子さんとシテしまったことへの……急激に強く、何故か。