初恋の向こう側
「その、土曜日はごめん。すっぽかしちゃって」
「それで?」
「それで……バイトの先輩と一緒にいたんだ」
「携帯の電源を落として?」
「いや、あれはマジで電池切れ。ホントにわざととかじゃないんだ」
言い訳をしながらも、目の前にいるヒロに申し訳なさが募った。
昨夜はあんなに欲情してたくせに、ヒロの顔を見たらやっぱりしなきゃよかったかな、なんて……。
自分でも呆れるくらいに優柔不断だよな。
それからその後は、ただ一生懸命にっていうか必死に謝りまくった。
多少の脚色はしたけど、ほとんどは現実通り話したと思う。
「それで、仕方なく酔った先輩を家まで送ってったわけ?」
「そうなんだ」
その先輩はの性別は伏せたままだけど。
「介抱してたら終電逃しちゃったんだ?」
「はい、おっしゃる通りです…」
ちょっとこの辺りは脚色しちゃったけど。