初恋の向こう側

「な? この通り!」


なんて拝みポーズで頭を下げる。
我ながら情けないっつーか。


「ヒロー?」

「………」

「茉紘ちゃ~ん?」


アホか俺は……でも。


「なぁ、ヒロ?」


やっぱ必死で。


「この埋め合わせは絶対するから! な?」


その後、なんとか許してもらった……? けど、胸ん中には可笑しなシコリみたいな物が残ってて。

苦笑いしたりヘコヘコ頭を下げて見せたりしながら、俺って嫌な奴だなって思ってた。

哉子さんのベッドの上で裸になってたくせに、平気でヒロに嘘を語ってる。

だけど、性(さが)には勝てない。
嘘も正当化してしまう。

つまんなくて、下らない男なんだな、って思った。


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