初恋の向こう側
大袈裟に溜め息を吐いて窓の外へ視線を逸らしたオサが、急に話題を変えた。
「ねぇ、お隣さんっていつ越して来たの?」
「は?」
「だってカーテンついてるから」
それを聞いた俺も慌ててベッドに飛び乗った。
「あっ ホントだ……」
俺の部屋の窓から外を覗くと、真っ正面に隣家の窓が見える。その距離、約四メートルってとこ。
それは、空き家になって三年のお隣さん。
「前の住人って幼なじみだっけ?
キャッワイ~女のコだったりしてっ」
隣家の窓を眺めたままのオサの背中に、ボソッと放つ。
「可愛くなんかねーよ」
すると振り向いたオサが俺に訊ねた。
「えっ アズマ会ったの?」
「誰に?」
「だからー、新しい住人」
「……ああ、そっちの話?」
「ってアズマ、誰の話してんの?」
「いや、別に……」
オサが首を傾げた。