初恋の向こう側
レジ前の列に並んだ時、ヒロが言った。
「ちょっと、トイレ行ってくるね?」
「うん、わかった」
そして、それは会計を済ませた直後に起きたんだ。
「ちょっと、誰なのよアンターッ!?」
初めに聞こえてきたのは、女のキンキン声。
慌てて成沢のテーブルの方を見ると……やっぱりヒロの姿があって。
「ったくー」
カウンターの上に出された釣り銭を鷲掴みにして駆けつけると、そこには……。
頭から水をかぶってビショ濡れになった成沢と目を釣り上げたゼブラコートの女がいて、その傍らには空のグラスを手に突っ立っているヒロがいた。