初恋の向こう側
不確かな感情
ヒロのモーニングコールで幕を開けた新年。
約束もしていないのに『初詣に連れて行け』と言われ、しぶしぶ出かけた。
七五三の時以来に見たヒロの晴れ着姿に、色んな意味で度肝を抜かれた俺。
だって急に思いついたみたいに言っておいて、その準備万端ぶりは何? って感じで。
それと着物なんて着てるとこを見ると、やっぱり女のコなんだなって。
もう少しだけ言うと、なんつーか……綺麗だな、なんてちょっと思った。正直言うとね。
でも口を開けばやっぱりヒロで、人ごみがウザイだの着物は歩きずらいだの……。
文句ばっか、しかめっ面ばーっか。
後は、バイトくらいが日課だった冬休み。その休みもあっという間に終わり、いつもの日常に戻った。
学校へ行ってオサとくだらない談笑をし、帰りにバイトに寄って……テスト期間になると、オサと愛莉が家へ来て勉強をする。
そして最終日には、ヒロの買い物に付きあい手料理をご馳走になる。
季節が巡るくらいで、ほとんど変わらない日々。
くだらなくも、時々些細な刺激のある毎日。
他になんか変わった事ってなかったかな?
……あ。
そういえば最近、ヒロが俺の部屋に来る頻度が増えたかも。
って挙げるほどのことでもないか。