初恋の向こう側

意味不明過ぎな、この状況。

『んなモン知るか !?』って言ってやりたいとこだけど、一年の時、何度か一緒にいるのを見かけたことがあるんだよな。

見かけただけじゃなく、小野崎と花井 友理亜が付き合ってるって話は、かなりの噂にもなってたし。
 

「ユリアがさー、突然『別れたい』なんて言いだすもんだからオレ、理由を訊いたわけ。そしたら『他に好きな男ができた』だって」

って、意味有り気に俺を見る。


そんな挑発的な顔されたってムカつくだけで、知ったこっちゃないっつーの。

俺が何かしたわけじゃないんだし。


でも小野崎は

「まっ、別にその事はいいんだ。好きになってしまったモンは仕方ねーってな」

とアッサリと言ってから続けた。


「でもよー」

「何だよ?」

「ユリアと別れた後で、オレも好きな娘ができたわけ」


は? 今度は何だよ?
話が読めなすぎるって、小野崎……。

やっぱり噂通り、こいつって賢くないらしい。

このまま聞いてるのも馬鹿馬鹿しくて、ポケットに手を入れて携帯を探った。

だけど小野崎は、そんな素っ気ない態度の俺に構わずに言ったんだ。


「それでだ、佐伯。
オマエって、椎名 茉紘と付き合ってんの?」


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