初恋の向こう側
キックオフのホイッスルが鳴り響く。
真っ直ぐと落ちてくる太陽の下、俺の足は、持ち主の想像を遥かに上回る動きをしてくれた。
何とも言えない爽快感を堪能しながら、グラウンドを駆けまわる。
足とボールが一体になってるような、久しぶりに味わう感覚。
自在にコントロールできてしまう愉快さ。
サッカーボールと戯れる俺は、まさに“水を得た魚”ってヤツだ。
またプレーができるんじゃないかって、そんな勘違いまで起こしそうになる。
ギャラリーの黄色い声援も気持ち良過ぎで、思わず調子に乗りそうだ。
でもそれくらい汗も乱れる呼吸も、最高に快感だった。
ハーフタイム五分を挟む、前後半二十分づつの変則ルール。
前半だけで、一人で四点を決めた俺だった。