初恋の向こう側
そしてそれは、後半が始まって間もなくのことだった。
ヘディングシュートを狙った俺は、宙に浮いたルーズボールめがけてジャンプした。
でも次の瞬間、ろっ骨のど真ん中に重い衝撃を受けたんだ。
一瞬、何が起こったのかわからなかった。感じたのは突きぬけるような痛みだけ。
高く飛んだ俺の体は下から突き上げられ、ドサっと地面に落ちた。
灼熱の太陽の下で温められた土がジリジリと熱かった。
ホイッスルの音が耳鳴りみたいに響いて、瞬きながら『ウルセーよ』なんて思っていた。
クラスメイト達が、俺の名前を呼んでいる。
照りつける太陽が眩しくて、目を閉じた。
ギャラリーのざわめきが、耳の中でコダマしていた。