初恋の向こう側
「…足は?」
「足?」
訊き返すとヒロが言った。
「前に怪我した場所を痛めたんじゃないの?」
なるほど。そういうことか。
「足は何ともないよ。誰かと衝突してコケただけだと思う」
「ホントに?」
「うん。ほら」
「そう……よかったぁ」
うなだれるようにベッドにもたれて、深く息をつくヒロ。
「何だよ。俺のことそんなに心配だったわけ?」
片眉を釣り上げて言った。おどけたつもりだった。
『バーカ』とか『そんなわけないでしょ』って、そんなふうに返してくると思ったから。