初恋の向こう側
「自分だけズルくね?」
「そんなこと言うなら、家の前まで送ってもらえばよかったじゃない?」
ってイタズラな笑顔を向けられた。
そうだけど……でもさ。
家の前まで送ってもらわなかったのには
理由がある。
それは、もうちょっとヒロと話がしたかったから。
特別な用事とか話題なんかがあったわけじゃない。
でも確かにそんな事を思ったんだ、さっき。
「ヒロ、今日の夕飯なに?」
「うーんとねぇ、ギョウザだよ」
「マジで?」
「うん。食ってく?」
「もち! 食ってく!」