初恋の向こう側


夏休み真っ只中だっていうのに、うちら二年は、進路ガイダンスなるものがあって登校日だった今日。

バスを降りて、家までの道をオサと並んで歩いていた。


「そんで、愛莉も後から来んだろ?」

「あー、たぶんなっ!」


明らかに不機嫌オーラ全開のオサ。


「なんだよ、さっきからキゲン悪いな?」


尋ねると、待ってましたと言わんばかりに喋りだした。


「愛莉がよー、なんか進路担当に相談があるんだってっ。
そんで『オサムは残る用事ないでしょ? 先に帰って』だよ?」

「それじゃ、一緒に帰れないから怒ってんの?」

「ちげーよ! そんだけのことじゃなくて……。

だってオレ等ってまだ二年だよ? そんなの休みが終わってからでもいいじゃん?
それにオレはバカだから、どうせ愛莉とは同じ大学には行けないし……。
なのに今から『進路だー、大学だー』って言われたってシラけるだけだよっ」


なるほどね。
その気持ち、わかんないでもないけどさ。


「だからアズマも後悔しないように、もっとなんつーの……青春を謳歌した方がいいぜ?
恋愛もしてないなんて精神的にも、体にだって物凄~く悪いだろ?」

「…はいはい」


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