初恋の向こう側

結局7時を過ぎても愛莉が来る様子はなく、ヒロからの返事も返ってこないから、そんなワケで帰ることにしたオサだけど。


「まったくメールの一本でも寄こせっていうんだよっ !!」


ってな具合に、ますます機嫌は悪くなってしまったわけで。


「愛莉の事だから、ちゃんと後で連絡来るだろ」


そんな俺の発言に耳は貸しても


「電話してきたって絶対出ねーよ! 何処で何をしてるんだかっ !!」


なーんて調子だった。

でも帰り際に、こんな事を言ったんだ。


「アズマ?」

「ん?」

「アズマがそんなに夏祭りの話を進めたいんなら、愛莉にメールとかしちゃってもいいよ。

それでついでに今日寄れなかった理由を聞いてもいいし」


ったく何が ”ついで” だよ。そっちの方がメインのクセに。


「わかったよ。愛莉にメールすればいいんだろ?」


素直じゃない親友に優しい提案をしてやると、「じゃあ俺は椎名に連絡しとくわ!」と笑顔で帰って行った。


< 176 / 380 >

この作品をシェア

pagetop