初恋の向こう側
結局7時を過ぎても愛莉が来る様子はなく、ヒロからの返事も返ってこないから、そんなワケで帰ることにしたオサだけど。
「まったくメールの一本でも寄こせっていうんだよっ !!」
ってな具合に、ますます機嫌は悪くなってしまったわけで。
「愛莉の事だから、ちゃんと後で連絡来るだろ」
そんな俺の発言に耳は貸しても
「電話してきたって絶対出ねーよ! 何処で何をしてるんだかっ !!」
なーんて調子だった。
でも帰り際に、こんな事を言ったんだ。
「アズマ?」
「ん?」
「アズマがそんなに夏祭りの話を進めたいんなら、愛莉にメールとかしちゃってもいいよ。
それでついでに今日寄れなかった理由を聞いてもいいし」
ったく何が ”ついで” だよ。そっちの方がメインのクセに。
「わかったよ。愛莉にメールすればいいんだろ?」
素直じゃない親友に優しい提案をしてやると、「じゃあ俺は椎名に連絡しとくわ!」と笑顔で帰って行った。