初恋の向こう側
「アズマ、いただいた桃があるんだけどお隣に持って行ってくれない?」
入ってきたのは母さん。
「…モモ?」
「そう」
「…いま?」
「そう!」
何故に、このタイミングでそんなこと頼まれるかな。
しかも桃だよ、桃……でも。
様子を伺うのにちょうど良くね?
なーんて考えがチラリとよぎってウン、ウンと一人頷いてみる。
「ちょっとアズマ、早く行ってきてよ」
絶好のチャンスじゃん。
「ヨッシャッ!」
勢いよくその場に立ち上がった。