初恋の向こう側

そして、その顔のままヒロを見る。


「じゃあ茉紘ちゃん、また来週ね?」

「はい! 了解でーす」


軽い足取りで車まで歩き立ち止まったそいつが、「サヨナラ」と俺を振り返り言った。

住宅街ということを考慮してだろうか? ゆっくりと且つ静かに車を発進させ去って行った車。


何だよ、あれ?
文句のつけどころもないじゃん。

最初に見た時、チャラ男ではないにしても日焼けした肌といい、もっと軟派なイメージを受けたのに。

ただそれは、俺の先入観が作りだしたものだったのか?

どう見ても、軟派どころか好青年って感じだろ。

しかもイケメンって……。


「それで、何か用だった?」


ヒロの言葉に我に帰る。


「ん?
あっ そうだった、これ」


カゴを差し出す。


「オバサンから? ありがと。
あっ ちょっと待ってて」


と家ん中に引っ込んでったヒロは間もなく出てきて「はい」とさっきのカゴを俺に手渡した。


< 182 / 380 >

この作品をシェア

pagetop