初恋の向こう側
そして、その顔のままヒロを見る。
「じゃあ茉紘ちゃん、また来週ね?」
「はい! 了解でーす」
軽い足取りで車まで歩き立ち止まったそいつが、「サヨナラ」と俺を振り返り言った。
住宅街ということを考慮してだろうか? ゆっくりと且つ静かに車を発進させ去って行った車。
何だよ、あれ?
文句のつけどころもないじゃん。
最初に見た時、チャラ男ではないにしても日焼けした肌といい、もっと軟派なイメージを受けたのに。
ただそれは、俺の先入観が作りだしたものだったのか?
どう見ても、軟派どころか好青年って感じだろ。
しかもイケメンって……。
「それで、何か用だった?」
ヒロの言葉に我に帰る。
「ん?
あっ そうだった、これ」
カゴを差し出す。
「オバサンから? ありがと。
あっ ちょっと待ってて」
と家ん中に引っ込んでったヒロは間もなく出てきて「はい」とさっきのカゴを俺に手渡した。