初恋の向こう側
「梓真?」
「……え。あっ ごめん」
「無理に誘いはしないけど。梓真からも茉紘に聞いておいてよ」
放り投げた携帯が布団の上で跳ねた。
それに続いて俺もベッドにダイブした。
小6の冬、市外へ引っ越していったヒロ。
そして高1になった去年の春、帰ってきた。
俺の知らない三年の間に、何処かで誰かと出会い恋をしてたって不思議じゃない。
むしろ、そのほうが自然だ。
俺だって中学の時に、付き合った女の子の一人や二人や三人いるし。
ファーストキスを経験して、セカンド以降のキスだって何度もした。
その先の行為についても中学のときは未遂に終わったけど、彼女だった娘と寸前までならしたわけだし。
そっち系のことをもっと言えば、去年の夏のことだってあるわけで……。