初恋の向こう側
オサに無理矢理連れてこられた1年6組の前。
俺等と同様に、その女の顔を見ようと集まってきた連中がウヨウヨいた。
新入生の中でNo.1だという、その女。
……って誰が一番って決めたんだ?
「で?」と隣に立ち訊ねると、オサは眉間に皺を寄せて俺を見た。
「そんなあからさまに面倒臭そうに訊くなよ?」
そんなこと言ったって、全く興味が無いわけじゃないけど、それ程ありもしないし。
「あっ。あれだよ、あれ!」
「んー、どれ?」
「窓のとこに立って話してる巻き髪の…」
……うーん、微妙~。
カワイイといえば、かもしんないけど。でもこんなに人だかり作るほどかー?
入り口に溜まってるのがアホらしくなってきた。
「先ぃ戻るわ」
そう言って回れ右をしようとした俺は、慌ててもう一度向き直った。
「アズマどうした?」
「………」