初恋の向こう側
弾け飛ぶ ――
怒りというのは単純且つ無責任なもので。
もうどうにでもなってしまえ! そんな投げやりな気持ちが追い打ちをかけるんだ。
「そうだよな。ただの幼なじみだもんな? 俺達」
「…ただの?」
「そうだろ?」
そのとき、ズボンの後ろポケットの中で鳴いた俺の携帯。画面を確認し指を動かすと目の前を影が横切った。
顔を上げ視線を向ければ、玄関前に立つヒロがいて。
その背中にかける言葉はもうないと思った。
怒り、虚しさ、やるせなさ……苦痛。
グルグルと渦巻く胸を押さえながら、その背中を見つめるしかなかった。
間もなくドアを開けたヒロがその先へおさまってしまっても、俺はその場に突っ立ったまま。
「もしもーし? アズマー、おーい!」
携帯から漏れてくるのはオサの声。
遮断されたドアを見つめたまま「…おう」携帯を耳にあてた。
「どうしたんだよ?
それでさ、祭りの件で ―」
「オサ、そのことなんだけど」