初恋の向こう側

弾け飛ぶ ――


怒りというのは単純且つ無責任なもので。

もうどうにでもなってしまえ! そんな投げやりな気持ちが追い打ちをかけるんだ。


「そうだよな。ただの幼なじみだもんな? 俺達」

「…ただの?」

「そうだろ?」


そのとき、ズボンの後ろポケットの中で鳴いた俺の携帯。画面を確認し指を動かすと目の前を影が横切った。

顔を上げ視線を向ければ、玄関前に立つヒロがいて。

その背中にかける言葉はもうないと思った。


怒り、虚しさ、やるせなさ……苦痛。


グルグルと渦巻く胸を押さえながら、その背中を見つめるしかなかった。

間もなくドアを開けたヒロがその先へおさまってしまっても、俺はその場に突っ立ったまま。


「もしもーし? アズマー、おーい!」


携帯から漏れてくるのはオサの声。

遮断されたドアを見つめたまま「…おう」携帯を耳にあてた。


「どうしたんだよ?
それでさ、祭りの件で ―」

「オサ、そのことなんだけど」


< 193 / 380 >

この作品をシェア

pagetop