初恋の向こう側
それを確認して立ち上がった。
「じゃー俺、先帰るわ」
「へ。だってまだ始まったばっかだろ?」
目を丸くしたオサが言った。
「そうだけど。これ以上デートのジャマはしねーよ」
笑いながらそう言って背中を向けた。
本屋にでも寄って帰ろうか……それとも映画のDVDでもレンタルしてこうか。
歩きながら、暇つぶしの手段を考えている最中だった。
「キャッ!!
ご、ごめんなさいっ!」
俺の腕に体当たりしてきたのは、浴衣を着た女の子。
背の高さから小学生かと思ったけど、俺を見上げた顔はそんなに幼くはなく。もうちょい上……おそらく中学生だろう。
「すみませ~ん!!」
ひたすらペコペコと頭を下げてる。
その動きに合わせて髪を結わえた花の飾りが揺れていた。