初恋の向こう側


それから数日が過ぎ週が変わって。

修学旅行で北海道へ来ていた。


旅館の窓にあたる雨粒を眺めていると、苦笑いを浮かべた鈴井が言った。


「佐伯も、もうちょっと楽しそうにしたら?」


と言われても……。

別にツマんなそうにしているつもりもないんだけど、なんとなく皆のテンションに着いてけてないのは事実かな。


そこへ、同じ部屋の奴が話しに入りこんできた。


「佐伯って、五組の椎名と家が隣なんだって?」

「…そうだけど」

「なー、彼女と隣同士ってどうなの? やっぱ便利? それとも親の目とかあるから色々とやりづらい?」


また勘違いされてるみたいだ。

時々あるんだよね。
テスト休みの時に一緒に帰ったり、教科書の貸し借りをするからだと思うんだけど……。

でも最近ではそんなこともないから、だから結構久しぶりかも。ヒロと付き合ってる、って間違われるのは。

『付きあってない』って言おうとしたら、別の奴が加わってきた。


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