初恋の向こう側
ヒロまでの距離を歩きながら、愛莉の言葉を思いだしていた。
―― 誰に見惚れてたの?
梓真が逢坂さんのことで絡んできたって
ヤキモチでしょ? ――
……わかんないよ。
だけど、ちゃんと話したいと思ったんだ。
それだけは、確実に言えることなんだ。
そこには、いつもより冷めた目つきをしたヒロが立っていた。
こうやって向き合うのも久しぶりだよな。
夏休みも花火大会も、ヒロの誕生日も過ぎてしまい、気がつけば木の葉が黄色く色づく季節になっていた。
なぁ、ヒロ ――
どんな言葉から口にすればいいだろう?
「ヒロ…?」
久しぶりに、その呼び名を口にした。