初恋の向こう側
でもヒロは、その後に発しようとした俺の言葉を待ってくれなかった。
「ただの家庭教師じゃなかったら、外で会っても文句ないでしょ?」
「え」
……どういう意味だよ?
言ったんだ、あのときは。
「もう付き合ってんだ?」って訊いた俺に、「それは違う」ってそう答えたのに。
「あのさ、」
「文句ないよね?
……ただの幼なじみ、なら…」
それ以上何も言わず何も聞こうとせず、ヒロはドアの向こう側へ消えた。