初恋の向こう側
ガタンッ バサバサーッ!
「キャアーッ !!」
それは、突然店内に響いた物音。っていうか奇声?
本が崩れ落下する音と、女の子の悲鳴に聞こえたけど……。
って、なんだ今の !?
俺以外は誰もいないはずだよな。
立ち上がり、声のした方へ見に行ってみる。
と、出入り口とは反対側、外の路地に面した壁面の一角にあるそのコーナーに、うずくまる人影があった。
アダルト書籍 ── 所謂エロコーナー。
その前の床に、その女の子は座りこんでいた。それらの類の本にまみれて頭を抱え小さくなりながら。
「大丈夫?」
声をかけると、俺を見上げて「ヒャアーッ!」 と飛びのいたその娘。