初恋の向こう側
「あ、あの、あの……ごめんなさーい !!」
慌てふためいた様子で、落とした本を拾い集めようとして「ギャアーッ !!!」と、再び飛びのいた。
そしてエロ写真だらけの床に顔を背けながら、散乱したそれらに手を伸ばす。
「いいよ。俺がやるから」
見かねて声をかけた。
屈んで目線を合わせると、彼女はポカンと口を開けたまま止まっている。
こうやって見てもやっぱり小さいな……。
色白の頬が染まっていく様子がはっきりとわかった。
我に帰ったように彼女がはっとして、その場に立ちあがり。そしてシドロモドロ気味に言いながら、やっぱり頭をペコペコと下げた。
「あ、あのっ 探し物をしてて……わたし。それで本棚にぶつかってしまったんです。
そしたら本を落としてしまって。こ、こんなに……ご、ごめんなさい!」
涙目で最敬礼をされて、ちょっと気の毒な気持ちになる。
「探し物って、ここで?」
目の前の本棚を指して、今にも泣き出しそうな彼女に訊ねた。
そこには ”アダルト書籍コ-ナー” と書かれた紙が張って、それを確認した彼女が
「いいえ! ち、違いますー!!」
と激しく首を横に振った。