初恋の向こう側
「うちの学校の鈴井と幼なじみなんだってね?」
尋ねると彼女は、驚いた様子で答えた。
「鈴井君が言ってたんですか?」
「うん。えっと、城浜の……」
「安西です。城浜学園二年の安西千尋です!」
丸くて小さな顔の中で、たれ目がちな二つの瞳が大きく見開かれている。
あまりに力の入った表情を見て、俺は思わず吹き出した。
そんな俺のリアクションを受け、キョトンとしてる彼女。
「あ、ごめんね?」
笑ってしまったことに対して言ったんだけど、全然意味がわかっていないようだ。