初恋の向こう側
夜、部屋で雑誌を読んでいた時のことだった。
ノックの音と共に「お兄ちゃん、いい?」 と真央の声。
「なに?」
応えると顔を出した真央が言った。
「玄関にね、茉紘ちゃん……」
「え!」
思わずベッドから飛び起きたが
「…の友達で、理君の彼女が来てるよ」
そう聞いて「なんだ愛莉か……」とへなへなと脱力してしまった。
すると真央の後ろから愛梨が
「“なんだ”なんて聞き捨てならないんですが?」
ひょっこりと顔を覗かせて苦笑した。