初恋の向こう側
 
「帰ってきたんなら言ってくれればいいのに」

「なんであたしから挨拶に行かなきゃいけないの?
カワイイ幼なじみが帰ってきたんだから、あんたが気づきなさいよ!」


……はい、はい。

外見は激変でも中身は変わってないみたいだな。


そんな風に思っていたら、横を歩いていたヒロが急に立ち止まり

「っていうか梓真って…」

とオレのことを睨みつけた。それも上から下までジロジロと……と思えば


「ちょっと梓真、あんた背伸び過ぎ! それに何? そのデカい靴は。
それから前より声も低くなってるし、顔も手も色んなとこが、とにかくなんだか………男臭ーーいっ !!!」


なんてまくし立て怪訝な顔を向けるから、思わず吹き出した。


「人のことばっかり言うけど、ヒロだって変わったじゃん?」

「あたしの? どこが?」

「どこがって髪も伸びたし、そんな短いスカート穿くようになっちゃって……」


苦笑しながら言うと、途中なのに口を挟まれた。


「ちょっと、あのねぇ?
あたしは梓真の生理的な成長について発言したの。それなのにあんたは髪型とかスカートの丈とか、何を言ってるわけ?」


なんて、何をそこまでムキになってるかな? 意味わかんねーっ。



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