初恋の向こう側
恋しくて



6月になり、部活組のオサや愛莉、それにヒロは最後の夏を迎え忙しいようだった。

そして千尋もピアノのコンクールを来月に控え、ゆっくり話をする時間も持てない様子で。たまに会った時も俺から話をしようとするたびに千尋は、はぐらかすように話題を変えた。

このままではいけない、と思いながら時間ばかりが過ぎていく。


いつ何処にいても胸の奥底が苦しかった。

何をしてても息が詰まりそうだった。

ヒロのことを想うと色んな想いが溢れだしそうになって、会いたくてたまらなくなった。


……まったく。

自分の馬鹿さ加減に失笑する。

こんな気持ちをずっと抱えていたくせに気づくの遅すぎっていうか。

何を血迷って他の女の子と付き合ったりしてるかな。

そんで、その彼女のことも傷つけようとしてる俺って人生やり直した方がいいのかも。

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