初恋の向こう側
家の前で立ち止まりヒロが言う。
「また明日ね。梓真」
五才の頃から、ずっとお隣さんだった俺達。
小学校を卒業する少し前に、ヒロが引っ越して居なくなって……。
三年ぶりに耳にした、そのフレーズを懐かしく思う。
「おう。じゃあな」
振り返って玄関ドアのレバーに手をかける。
でもその時、同じく隣の玄関の前に立ったヒロに「梓真!」と呼び止められた。
顔だけ向けると、ニッコリと満面の笑顔のヒロが、首を傾げる俺に浴びせてくれた。
「のぞかないでよね? キ・ガ・エ!」