初恋の向こう側
そんな風に言うなよ。
“ただの” だなんて……言うな。
好き、だって言ってしまいたい。
そしたらこの胸の中の塊が少しは砕け散ってくれるんじゃないか。
「話を聞いてほしい」
「だから言ったでしょ? 彼女持ちがそういうこと、」
「そんな言い方すんなよ!」
思わず声を荒げてしまった。
苦しかった。伝えたいことはちゃんとあるのに。
それなのに……。
「変だよ今日の梓真。そんな態度とられたってあたし、どうしようもできない」
「ヒロ」
「ごめん。前にあった話はなくなったの。それに梓真?」
「ん?」
「彼女とは続いてるんでしょ?」