初恋の向こう側
* * *
「幼なじみって、いくつの時から?」
さっきから窓にへばりついているオサ。
「五才の時からだけど…?」
答えてから俺は、持っていた教科書をバンッと音を立てて机に置いた。
「勉強しに来たんじゃねーのかよ!」
結局、中学の時と同じバスケ部に収まったオサ。
今週はテスト休み。ということで久々に俺ん家に寄ったわけだが、さっきからヒロの部屋の窓を眺めてばっかりで、本来の目的を忘れてやがる。
かなり不機嫌っぽく言ったつもりなのに、鈍感な親友が呑気に話す。
「梓真の幼なじみってさ、結構可愛いよね?」
「……」
「っていうか綺麗系だよなぁ?」
一人で言ってろ。
でも、完全に空気が読めないらしいオサム君がニヤけて続ける。
「スタイルの良さでは、かなりの評判になってるぜ?」