初恋の向こう側
そういえば随分と前に、こんな気持ちを味わったことがある。
あれは七、八年前の事になるけど、真央が昔習っていたバレエの発表会を観に行った時のことだ。
千尋のピアノと比べるのは申し訳ないくらい真央のバレエはヘタクソで、しかも発表会のすぐ後に辞めてしまったけど。
あの時も俺は客席で手汗をビッショリかいて観ていたんだ。
自分のことのようにドキドキして喉をカラカラに乾かせながら……。
あの時の気持ちと全く一緒だ。
彼氏として彼女を見守るんじゃなくて、妹の真央を見守るような、まるで保護者にでもなったみたいなそんな目で見ている。
……限界だ。
話さなきゃ。
これが終わったら正直に伝えよう。