初恋の向こう側
ヒロがどこへ向かっているのか? なんて聞くまでもなく、待ち合わせ場所まで鞄持ちをさせられた。
近くのコンビニへ着くと、中で立ち読みをしているオサがいた。
「おはよ」
「おうアズマ! あっ 椎名もおかえりー」
なんてヘラヘラと笑ってるその耳を摘まんでやる。
「痛っ! なんだよアズマー痛いって!!」
その場にしゃがみこんで悶絶するオサに向かって言った。
「なんで言わねーんだよ?」
「えっ何が?」
「何が? じゃないだろ! ヒロの事だって」
「あっ あー……そのあれだよ、あれ。サプライズだよ、そうサプライズゲスト?」
何がサプライズだよ、まったく。
「それで愛莉は?」
「そろそろ着くって今電話があったばかり」
「愛莉の兄ちゃんの車で行くんだろ? それでその友達も一緒だって言ってたよな?」
「あっ、ああーうん……その事なんだけどさ……」
急にバツの悪そうな顔をするオサ。
不思議に感じていると、トイレから出てきたヒロが外を見ながら言った。
「あっ 愛莉も来たよ。
ということはあと一人だね」