初恋の向こう側
俺達を見つけて店の中へ入ってきた愛莉。
「おはよ! 茉紘おかえり~」
とヒロとハグを交わした。そして
「愛莉の兄ちゃんは?」
キョロキョロしてる俺を見た愛莉がオサに突っこむ。
「まさかアズマに言ってないの?」
「えっ? いやっ そのぉー……」
急にシドロモドロになるオサ。
なんだよ、まさかって? すっげー気になるじゃん。
『なんの話だよ?』って二人に訊こうとした時。
「あっ 到着したみたい」
ガラス越しに駐車場を眺めていたヒロが言った。
その声に、俺も外へ目を向けた。
……そして固まった。
コンビニの駐車場へ入ってきた一台の車。
久しぶりに見るそれは、この夏休み中ずっと俺を悩ませていた黒いステーションワゴンだった。