初恋の向こう側
いざ出発!となった時、さっさと助手席を陣取ったのは愛莉。
残った俺を含む三人が後部座席に乗り込んだ。
ヒロとオサ、そして俺の順で。
まさかこの車に乗るなんて思ってもなかったし、かなり有り得ない状況になってないか?
「どういうことだよ?」
隣に座ってるオサを睨みつけた。
「最初は愛莉の兄ちゃん達と一緒に行く予定だったんだけど」
「だけど?」
「都合が悪くなって」
「それで?」
「椎名にそのことを話したら、車出してくれる人がいるってなって……」
ふうん。そういうわけかー、って納得できるかっ。
だったら先に言っておいてくれよ! って思うけど、全員集合の車中で声を荒げるわけにもいかず。
ただただ、深い溜め息を吐き出した。