初恋の向こう側
「梓真?」
「ん?」
後部座席にオサを挟んで座ってるヒロと俺。互いにそっぽを向いたまま会話をする。
「喉が渇いたんだけど?」
「……オサ?」
「何だよ?」
「喉が渇いたってさ」
「あーはいはいっ」 とクーラーバッグを探るオサ。
「梓真?」
「んー?」
「ご愁傷サマ」
「何が?」
「彼女と別れたんだって?」
「……」
ヒロの放った一言に静まりかえる車内。
「オサッ! 」と俺は隣を睨んだ。
「違う違うっ!! 俺が言ったんじゃないって!」
慌てるオサに代わって言葉を発したのは愛莉。
「茉紘に話したのはあたし」