初恋の向こう側
そのまま抱きよせて背中に手をまわす。
強く抱きしめると、俺の腕の中で少しずつ力を抜いていくのがわかった。
愛しくてたまんなくて……壊れるくらいに抱きたくなる。
そして、ゆっくりと体を離しその目を覗きこむと── それは、いつもの勝ち気なヒロじゃない。
大きな瞳を潤ませ、じっと返してくる視線。
「そんなの、ずっとわかってた。梓真があたしを好きなことくらい、ずーっとわかってた。
なのに……梓真のバカは……待たせすぎだよ!」
「ごめん」
「なんでこんな遠まわりしてるの?
他の子と付き合ったり、年上の人と遊んだりして……バカッ!」
「ごめんヒロ」
黒目がちな瞳が左右に微動して、そこから大きな滴がこぼれ落ちた。
初めて見たヒロの涙。
そっと人差し指で拭ってそのまま唇をなぞると、細い体が微かに震えたのがわかった。
そして、見つめ合いそのままゆっくりと顔を近づけて──