初恋の向こう側

「何がだよ !?」

「だって、あからさますぎるから」


ボソッと呟いて部屋の奥へ歩いていく。その後ろにぴったりとくっついて歩きながら聞いた。


「どういう意味だよ? っていうか、逢坂さんと何の話してたんだよ!?」


するとヒロは、くるりと向き直り

「梓真、嫉妬深いのは今時嫌われるよ?」

と言い放った。


「── っ」


だって気になるだろ。まだ確約されてないんだし。

俺の気持ちは言葉にしたけど、まだヒロからは聞いていないんだ。

悪いかよっ、嫉妬しちゃ。

好きな女で頭がいっぱいで細かいことも気になって、イラッとしたりそんな気持ちになるのが悪いかよ。

仕様がないだろ。自然と湧き起こってしまうんだから。

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