初恋の向こう側
俺は、目の前にあるベッドに倒れこんだ。
……何でこうなるかな?
やっと言えたのに。
『好きだ』って言葉に出来たのに。
溜め息を吐き出すと、寝転がってる俺の左側が沈みこんだ。
「ねぇ?」
「んー?」
「さっき、あたしにキスしようとしたでしょ?」
「……」
「好きって言って、それでそのまましようとしたでしょ?」
「そういうこと言うなよ!」
「だってホントのことじゃん」
体から一気に脱力して、おまけに頭ん中は疲労感で埋まりそうだ。
ヒロへの告白はもっとロマンティックにキメたかったのに。
結構序盤はイケてたと思うんだけど、何故かこんなムードになっちまって……。
「それにしても皆、遅くね?」
「そんなすぐに帰ってくるわけないじゃない。あたし達に期待してるんだから」
「期待?」
聞き返すと、隣でヒロが盛大な溜め息をついた。