初恋の向こう側
「ヒロ」
「うん」
「好きだ」
「………」
「好きだよ」
「あたしも。
初めて会ったあの小さな頃から、ずっと梓真だけが好きだったの」
顔を傾けるとヒロがそっと瞼を閉じた。
そっと肩に手を置いて、ゆっくりと降下する。
触れた皮膚の感触が強まっていくのは、重なりあう面積が広がっていくから。
だけど面積以上に強く温もりを感じるのは、ヒロへの想いがあるから。
ヒロの唇は、想像以上に柔らかく不思議と甘い味がした。
キスなんて、誰としたってそんなに変わりないって思ってた。でも違う。
好きな女の子と交わすキスは、特別なんだ。
とろけるように甘いくせに、痺れるくらい切なくなる。
突き抜けるほど刺激的で、かなり格別な ── そんな不思議な味がしたんだ。