初恋の向こう側
だけど俺達の背中へ向けて愛莉が放った言葉で、歩を止めた。
「見たの。確認したの。
理とあたしで、その写メを確認したの。グシャグシャに潰れてたけど、ナンバーも……間違いなかった」
……そんな ──
「救急車は早くに到着したみたいだけどエンジンルームが潰れて足が抜けなかったらしいんだ。
でも今は病院に運ばれたみたいだからって、明日の朝なら車を出せるって言われたから」
説明を終えたオサは話し終えると、そのまま力なくソファに腰を沈めた。
それ以上の言葉を失いそっとヒロの顔を伺い見る。
声を出すことも表情を変えることも忘れたみたいにヒロはただ、その場へ立ち尽くしていた。
こんなに重苦しい夜は初めてで。
誰もそれ以上なにも言わず、ただ時間が過ぎるのを待った。
タクシーを飛ばして病院へ行こうかとも思ったが、搬送先が何処かもその時はわからず、朝までには何とかすると言ってくれたスタッフの人の情報を待つばかりだった。