初恋の向こう側

「そうだヒロ、逢坂さんの意識が戻ったって」

「え……」

「オサ達が明日、葬儀の後に病院に行ってみるって言ってたよ。よかったな?」

「あたしも、あたし達も明日行こうよ梓真?」

「何言ってんだよ。明日は告別式があるだろ?」


あの日、トレーラーを運転していた見知らぬオヤジのせいで逢坂さんは大変な事故に遭った。

花火を調達するため最初に寄ったコンビニを後にした彼は、そこから少し離れたスーパーへ向かって車を走らせていた。

そこは、広々とした国道だった。

日はすっかり沈んでいたが、街灯や周りにある建物の照明で充分に照らされている道。

運送用トラックの後ろで信号待ちをしていた時、居眠りをしていたトレーラーに後ろから突っこまれたんだ。

大型車二台の間に挟まれた乗用車の、その無残な姿。

写りの悪い写真でしか確認してないけど、想像していたより遥かに酷く、俺とヒロは言葉を失った。

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