初恋の向こう側

そして今日、逢坂さんは三日ぶりに意識を取り戻した。

さっきオサと愛莉に聞いた話には続きがあるけれど……ヒロにはまだ黙っておこう。


「それにしても凄い人だったな?」

「ああ、参列者のこと? ほとんどがパパの仕事関係でしょ。

本人は人付き合いあいなんて全くしてこなかったのに、ママの顔すら見たことない人達がこんなにいっぱい集まっちゃって、なんか笑っちゃう」


ヒロは乾いた笑い声をあげた。
その薄い響きが夜風に溶けていく。


「学校の先生とかクラスの子達とかもいっぱい来ちゃうし…… これじゃあママが精神患ってたことバレバレじゃんね?」

「……」

「ママは誰にも会いたくなくて。人目に曝されないように、いつも隠れて生きていたのに。
こんな死に方選ぶんだもん。却って目立つって話だよね。ねぇ、そう思わない梓真?」


ヒロらしくない。
ヘラヘラと笑ってる。

その作り物の嘘の顔が、俺の胸を締めつけた。

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